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ss唯梓【the things that never cross...?】(3)

  • Posted by: 拳骨
  • 2010-08-03 Tue 17:05:50
  • ss
だかだかーっと更新です。
久々に仕事が休みだったので、のんびり作業できました♪
今週中にもう一回くらい更新できたらなあと思います。

ss唯梓【the things that never cross...?】(2)
の続きです。

引き続き百合パラレルですのでご注意ください。







______________________________【the things that never cross...?】


-03-

少女は梓と名乗った。
良い名前だと唯は思った。
 
歳が自分と一つしか違わないことがわかって、それには少し驚いた。
もっと下だと思った、と梓へ視線を向けると、梓は唯の気持ちを読んだかのように
ジトっとした目で唯を見ていて思わず吹きだした。
久しぶりに何も考えずにわらった気がした。
 
梓と向き合って座っているだけで、幸せな気持ちになる。
何故なのかはわからなくても良いと唯は思う。
 
鳥が囀り、蝶が舞う。
 
晴れていて良かった、唯は空を見上げながら思う。
思いがけず素敵な午後になったから。
 
「こんなところでなにをしていたんですか?」
 
不意に梓が口を開き、唯はぐるりと思考を廻らす。
なにをしていたのか。
改まって聞かれると、答えに困る。
 
「んー、お昼寝?」
 
自信なさげに返事をすると梓は少し呆れたような顔をした。
 
「疑問に疑問で返さないでください」
 
「えへへ、ごめんよぅ」
 
笑いながら頬を掻く。
よく言われることだった。
物事を断言することを避ける傾向にあるのだと自分でも思う。
もしかしたら逃げているのかも知れない。
断言には責任が発生する。
 
あぁ、今はそんな思考に耽っている時間ではない。
唯は目の前に座る梓を見つめなおした。
 
「そういうアズサはなにをしてたの?」
 
「あ、あぁ。ごんちゃんに餌を遣りに」
 
そう言うと梓は思いだしたように横に置いてある鞄の中をごそごそと探り、
紙に包まれたチーズとハムの挟まったパンを取り出した。
パンは半分に千切られていて、残りの半分は梓が食べたのだろうと唯は思う。
 
「ごんちゃん、ご飯だよ」
 
パンを包んでいた紙を広げてその上にパンを千切って置いてやっている。
このご時世に随分贅沢な食事だな。
パンすら食べられずに餓えている人々がいるのに。
唯は梓を横目で見ながらぼんやりと思う。
 
「…勿体無い」
 
ポロリと口から漏れてしまった唯の言葉は、梓の耳へと届いたようで
パンを千切っていた梓が顔を上げて唯を睨んだ。
 
「私のご飯なので、食べようが捨てようが誰にも迷惑はかけていません」
 
梓の瞳が小刻みに震えていて、可愛いなと唯は思う。
そっと梓に近付いて、小さな頭をそっと撫でる。
 
「だからこんなにちっちゃいんだ」
 
からかい混じりの言葉に、梓の頬がぷくーっと膨れた。
 
「ごめん、ごめん」
 
クスクスと笑いながら膨れた頬を指で突付くと、梓の頬から空気が抜けた。
二人のすぐ横で、ごんちゃんが紙に置かれたパンをガツガツと食べている。

戦争も平和も飢饉だって彼には関係のない話だ。
私たちが勝手に争い、殺し合い、奪い合っているだけで。
唯は、彼のように生きたいと、思わずにいられなかった。
 
ぺろりとパンを平らげたごんちゃんはふわふわと飛ぶ蝶を追いかけぴょんぴょんと跳ね回る。
野生の狐にしては警戒心もなく穏やか過ぎると唯は思う。
それにこんな森の奥で餌を与えているとなるとやはり家で飼っているわけではないのだろう。
 
「…家では飼えないの?」
 
問いかけると、梓は小さく視線を動かした。
 
「…戦争が、終わったら、迎えに来ようと」
 
悲しげな梓の瞳に、唯は自分の発言を少しだけ後悔した。
私が人を殺したことがあると知ったら、梓はどんな顔をするのだろう。
小さな頃に受けた戦争能力テストに受かりさえしなければ唯は人を殺さずに済んだ。
空襲警報を聞いて、宿舎を飛び出さずに、家の机の下に身を隠して震えていられたのだ。
 
学校の成績は悪かったのに、戦争能力テストでは満点に近い数字を出してしまった。
大人たちから褒め称えられ、唯は特別部隊養成所に入学した。
当時はただ、褒められたことが嬉しくて浮かれていた。
そして、唯は人を殺すための教育を受けたのだ。
正義の為ならば、大切な人を守る為ならば、人を殺めても罪ではないと。
敵国が滅べば皆が幸せにくらせるのだと。
 
大人たちは、子供ならばその矛盾に気付かないとでも思っているのだろうか。
 
「…そっか」
 
としか言えずに、唯は梓の頭へと手を伸ばす。
自分の右手が視界に入り、唯は伸ばした手を止めた。
人を殺した手で、梓に触れることが急に躊躇われて、唯は右手をそっと下ろした。
 
神に問う。
彼女に触れてもいい?
神は答えない。
 
この戦争の原因である神はずっと沈黙したままだ。
唯は梓のに気付かれないように、自嘲気味に笑んだ。
 
梓を知ってから、ほんの一時間。
一時間前までは、梓が生きていることさえ知らなかったのに。
なんで、こんなに。
 
愛しいのだろう。
 
ふっと息を吐き、梓と視線を絡ませる。
神は相変わらず沈黙を貫いている。

この手を拒むことが出来るのは梓だけだと唯は思う。
 
「明日も、来る?」
 
梓の瞳が小さく揺れて、その瞳に映った唯も小さく揺れた。
目の前で揺れる髪に唯はそっと触れた。
艶やかなその黒髪は想像よりずっと柔らかくて、胸が高鳴った。
 
出来るならば永遠に、梓に触れていたいと思った。


______________________________【……great deep.】へ続く…



[あとがき]
これにて第一章、というか一日目が終わりです。
ようやく自己紹介が終わった…。
パラレルの難しさを痛感中です!
二人の年齢は私の頭の中では唯が21歳、梓が20歳くらいのつもりで書いています。
まあ、17歳と16歳でも良いんですけどね。
次からは第二章、【……great deep.】です。

早めに更新できるように頑張ります!

 

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